はじめまして。今日からブログの掲載を始めたいと思います。
先ずは干支の牛さんと共にご挨拶を。
頭の天辺に立派な鳥の羽、ピンクの豪華な鞍掛け。
体中に可愛らしい高価な飾り物が付けられたこの
牛のお話は、コラムでご紹介します。とりあえずは
コロナのいち早い収束を祈ってご挨拶とします。
この牛の絵は15世紀頃、おそらくイラン西北部かカスピ海の東の中央アジアのどこかで描かれたもので、絵巻の一部だと思われる作品の部分です。絵の全体は、昔日本で製作されたような物語を伴った絵巻ではなく、草原で様々な動物たちが遊ぶ様子を描いた動物づくしのようなものです。動物たちや草花は墨で繊細に描かれその間を霊芝雲が浮かび、蝶々や蜻蛉(カゲロウ)がその間を飛び交っています。描かれている動物は豹、チータ、猪、ロバ、ヘラ鹿、虎、麒麟、山猫、牛などです。動物たちは皆番(つがい)で描かれています。動物たちの間に配された草花は、イスラーム美術ではなじみの深い葵の花、小笹や萱草などです。この作品はトプカプ宮殿が所蔵するサライ・アルバムという通称で呼ばれている詩画帳(アルバム)に収められている数千の絵画の一つです。ブログの写真に登場してもらった牛さんにも、彼の連れ合いである雌の牛がいて彼の前に描かれているのですが、いたって質素な描法で、彼が付けているような飾りはありませんし、他の動物たちにも装飾は見られません。立派な鞍掛けを付けた牛が何を表しているのかは分かっていませんが、詩画帳サライ・アルバムのほかの絵にはラクダや馬などに同様の装飾が見られます。動物を飾る習慣に関しては、また別の機会にお話しします。