ミカン畑の水仙
お正月の花の一つ水仙。
東京に住んでいたころはその切り花を買うのが当たり前であった。
小田原に越してみると、年を超すあたりからミカン畑に群生している水仙が一斉に咲き
始めるのに目を見張った。
ミカンは晩秋に殆ど収穫されてしまうが、夏ミカン、湘南ゴールドなど他の柑橘類がたわ
わに実をつけた畑の周囲は可憐な水仙で華やぎを増し、甘い香りに包まれる。
水仙という名称は中国起源で、仙界や仙人の「仙」という文字を共有することから目出度
い花とされ、また水仙の球根が分球して群生する様子は八仙人(群仙)を寓する吉祥の表
象でもある。
水仙は広く自生する花で、西洋での学名のナルキッソスはギリシャ神話の美少年ナルキッ
ソスに由来する。
水面に映った自分の美しさに恋するあまり命を落とし、そこに水仙が咲いた
という物語は、ナルシシズム(自己愛)という言葉の語源となった。
東西の水仙にまつわる伝承を思いながらの散歩は楽しい。

