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日常に美を意識する
life

みかん

 

ミカン、日本人が最も好きな果物の一つ。秋も深まると食卓に、コタツの上に置かれる。見慣れた風物詩。ミカンはお正月に吉祥として鏡餅などに飾られる橙(ダイダイ)の親戚で、祝膳の脇役。でも賑わう団欒の場には欠かせない存在。5月に咲くミカンの花の香りが待ち遠しい。

ミカン昔話。子供の頃、今からかれこれ70年ぐらい前、戦後の貧しい食生活がまだ続く中で、ある日ミカンの缶詰を食べさせてもらいました。確かではありませんが、病弱だった私に滋養にと親がどこかで手に入れてくれたように記憶しています。こんなにおいしいものがあるのかと子供ながらに虜になった憶えがあります。物資が豊富になってからも、今でさえミカンの缶詰は懐かしく、私にとって特別な存在です。多分アヲハタのミカンの缶詰だったと思い、社歴を調べてみたらアヲハタさんは1933年(昭和8年)に既に広島でミカンの缶詰工場を開設し、戦後は1948年(昭和23年)に青旗缶詰株式会社を設立し、ミカンなど果物の缶詰やジャムの製造を再開されたそうです。私が食べたのもそのころのアオハタさんの缶詰だったようです。その後ミカンの栽培も少しずつ盛んになり、やがて木箱のいわゆるミカン箱で配送が行われるようになったのです。今のような宅配のシステムはまだない時代、鉄道荷物で送られてきたように記憶しています。ミカンが果物として市場に出回るようになると、私はミカンを食べすぎ、学校の身体検査で黄疸の疑いがかけられるほどでした。ミカン農家さんが道端で売る小田原ミカンを惜しみなく食べながら、戦後のミカン事情を思い出すこの頃です。