1月の最後は瑞鳥に登場してもらいます。鶴は千年、
亀は万年。鶴は中国では仙界の鳥。そこから日本でも
長寿を願う鳥とされて久しく、千羽鶴を作って祈願する
習慣も私たちの日常にすっかり溶け込んでいます。
そんな中、テレビのニュースから万羽鶴なる言葉が聞こえてきました。
万羽鶴って何?そんな言葉ありましたっけ?
ニュースでは、千葉県君津市の「万羽鶴に願いをのせて」という企画を紹介していました。‘新型コロナをふきとばそう’という意図だそうで、小学生などが千羽鶴を折り、展示されるということでした。あまり耳にしない万羽鶴、一般の辞書では見当たりませんでしたが、インターネットの辞書には‘鹿児島県出水(いずみ)市の平野で秋から春にかけて、1万羽以上のナベヅルやマナヅルが越冬のために飛来すること。国の特別天然記念物。’とあります。ちなみに昨年の2020年12月に出水に飛来した鶴は1万7千羽を超えたそうです。鶴と言うと北海道に越冬にやって来るタンチョウヅルも思い起されますが、飛来するのは1500羽ほどだそうです。万葉集にも鶴は‘たず’として頻繁に詠われていますが、おそらく昔は西日本など広い範囲で群れをなして飛来する鶴が見られたのでしょう。群れを成す鶴と言えば、画家宗達と書家光悦がコラボした「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(京都国立博物館蔵)が思い起されます。長巻の画面を群れを成して上昇し、降下し、また飛翔する、そうかと思うと水辺に静かに佇む銀一色の鶴たちの躍動感にあふれた光景は、鶴が群棲していた古き日本の自然の一コマだったのでしょう。